例題
よう素を四塩化炭素と水の2相に分配溶解し、四塩化炭素中のよう素濃度が15g/Lのときに、水相は0.15g/Lであった。よう素0.25gを含む1Lの水溶液に四塩化炭素10mLを加えて抽出する操作を2回繰り返したとき、初めにあったよう素の何%が水溶液中に残存するか。
イ:0.8% ロ:6.3% ハ:12.5% 二:25%
解説
抽出作業をやった事がある人はわかると思うが、通常、1回の抽出では終わらず、2回、3回と行う事が多い。
なぜかと言えば、水層に溶けている物質が有機層に全て移動するわけではなく、一定の濃度の比率になるように、平衡状態になっているからである。この平衡を分配平衡って呼んだりする。
そして実際計算に使う分配比は、
分配比= 有機層に溶けてる物質の濃度 水層に溶けてる物質の濃度
で計算出来ます。分配比は、溶媒、物質等の条件が変わらなければ、常に一定の値になるので、分配係数と呼ばれたりもします。
実際に例題を解いてみましょう。
まずは、分配比を出します。
四塩化炭素中のよう素濃度が15g/Lのときに、水相は0.15g/Lであるから、
分配比=有機層に溶けてる物質の濃度 水層に溶けてる物質の濃度= 15g/L 0.15g/L =100
操作についても分配比の式を出します。
よう素0.25gを含む1Lの水溶液に四塩化炭素10mLを加えて抽出する操作では、有機層10mlに溶けた分のよう素の量をagとするとその濃度は、1g/10ml = 100xg/L なので
分配比=100ag/L(0.25-a)g/L=100
これを解くと、a = 0.125g
になります。
最初に水層1Lに含まれるよう素の量は、2.5gなので
0.125g 2.5g ×100 =50%
が一度に抽出される事がわかりました。この率のことを、抽出率と呼びます。
一応、式を変形して公式とする事もあるのですが、覚えにくい上に間違いの元なので、自力で計算したほうが間違い無いでしょう。
さて、本例題では2回の抽出作業を行っています。
50%の抽出率の作業を2回行えば、抽出して残った量は、
0.5 × 0.5 × 100 =25%
という事で、正解は、ニ 25% になります
一見簡単そうに見えて、計算は少し大変で時間もかかるので、同様の問題が出た時は、一旦後回しにして、時間があまったらやる感じでいいかもしれません。